裏読み©︎inema

旧作映画を中心に裏読みをしていきますね

【ウォッチメン】

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バットマンと、時を同じくして現れたアメコミ文学…の一角…なんだけどさ、やっぱシュールでダークで難解なわけ。

 


事実、僕も公開当初から…これ観て見ぬフリ決め込んでましたから!あれこれ、裏読み垂涎のメタファーはギンギン感じるんだけど…パズルのピースがうまく収まってくれないもどかしさから、お手上げ状態。

 


ネットにも、様々な解説が散乱しておりまして…どれも「なるほど」と頷けるわけですが、いかんせんヒネクレ者の僕…(内心、それチョイちゃうんじゃね?と納得してやしない)…は観て見ぬフリ…。

 


さて、そんなヒネクレ者も月日と共に角が取れて丸くなるにつれて…ひらめくわけです。

 


        (´-ω-`)

     (´-ω-`)…

      (´-ω-`)…

         (´-ω-`)

           (´-ω-`)…

          (´-ω-`)

         (´-ω-`)……

        (´-ω-`)………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  ピコーん!

    ٩( ' ω '  )و

    はい、来たー

 

 

 

      そう、こんな感じで…

 


Dr.マンハッタンとは…何者だったのか?そして、ロールシャッハは…?眠れぬ夜…見上げる星々。一筋の流れ星!そうか!そうだったのか…僕は思った。

 

「世界は狂ってる。何が正しくて、何が正しくないなんて…ただの幻想じゃないか!みんな自分が正しいと思い込んでることをやってるだけ!そもそも悪なんて…ありゃしない!一視点から見えた悪は、別視点からは誰かの正義。逆も然り。公明正大な正義なんてなー、他所から見りゃあ…悪の権化。

"正しさ"ってさ…

そんときの多数決の結果だかんね」

 


『ヒーローを現実世界にぶち込んだら』という設定を謳っているが、それは言い換えりゃ…僕らの『現実世界に潜在的にある正義を掲げたヒーロー』を指している訳なのさ。

 

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ロールシャッハ、彼は右翼愛国者といったところか。

 

 

 

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コメディアン、あいつは…アメリカンスピリット(荒くれた開拓精神)といったとこだろ。

 

 

 

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ナイトオウル、インポテンツは…

人命救助フェチ…。

 

 

 

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オジマンディアス、文字通り 頭のいいやつ…

そして…Dr.マンハッタンこそ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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世論だよ。

そん中の民意。

もっと平たく言えば、いいねってやつ。

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実は、Dr.マンハッタンて最新科学兵器の副産物なんてテクノロちっくなものじゃあない。僕らが日々テレビで新聞でネットで垣間見てる世論なんだよね。あ!でも…それを目に見えるカタチにしてくれてるのは…テクノロジーか!

 


世論てさ、誰かの個人的考察じゃなく民意の総体として現れるソレだろ?

でも、その構成要素は…国民一人一人であるというややこしい構造なんだよ。

 

Dr.マンハッタンが、アメリカに生まれたってのも頷けるだろ?

相対する社会主義共産国家政権下では、生まれようがないわけ。

 

そんなDr.マンハッタンの脅威に最初に気づくのは…

頭のいい奴ってことだよね。その使い方も秀逸。

 

 

 

…と気づくと、二台大国米ソが睨み合っていたあの時代に…いや、もちろんいま現在も核の発射ボタンを押そうとしてる権力者の抑止力となり、脅威となり、神の力とまで言われる

ソレは…僕らなんだよ。

僕じゃないよ、アナタでもない。僕ら一人一人を擁して現れる世論。民意の総体。

時の権力者たちを掲げ上げるも、引きずり下ろすも…

 

世論だろ?

 


じゃ何故、ソレ以前にDr.マンハッタンは現れなかったか…

 


世論という全体像がみえる媒体がなかっただけ。ネットワークが未発達だったが故に。

 


ニクソン政権が大手新聞各社の団結によって糾弾されたのは、有名だよね!世論が高まり…水素爆発並みの破壊力をもって…体制を変え得る力…青い

フルチン野郎じぇねぇか!

f:id:tekkan-non:20190303111320j:imageそう、彼(世論)は神でも何でもない。そのまま出歩きゃ公序良俗に反するハレンチ野郎だ。世論は正しい…なんて唱えてるのは選挙前の政治家だけ。群衆の"いいね"多数決が正しいなら、低所得労働者の意見が可決するの確定だかんね!誰も働きたかねーよ。

 


とどのつまり、この物語…頭のいい奴がしでかした世論操作によって、世界の滅亡は回避されたわけ…それを、咎めた右翼愛国者は…世論によって瞬殺されるというね。

どいつもこいつも…ヒーローなんかじゃなく、正義でもない!正義なんて…ものも世論次第の幻想と言ったところだろうか…

 

米ソ首脳は…第三の脅威を理由に握手してんだけどさ、それ自国民の世論だったというね。もっと、適切に言うなら…覇権争いに寝ぼけた権力者たちが、群衆の脅威に気づいて喧嘩を止めた…だけ。

 

 

 

 


最後に中世ヨーロッパのとある皇帝の回顧録を紹介しよう。

 

1740年、プロイセン(現在のドイツベルリンあたり一帯を支配していた帝国)の皇帝フリードリッヒ二世。先代から続く血生臭い戦乱続きで何十万もの民衆が倒れ、貧窮する民衆も、帝国の存続をかけて闘っていく日々…家族や友人を失った者ばかりであろう、60,000を超える我が兵士を城下に見下ろし…彼フリードリッヒ二世は内心思った。

 


「私がここから、60,000の兵を眺めやる。その誰もが、私より優れた肉体と装備をまといながらも…私にひれ伏す。

私は60,000の兵士を怖れもしないがあやつらは私を敬う。不思議なものよ。」

 

民衆もお抱えの兵士たちも、誰も気づいていないのだ。我らが青きフルチンに…みんなで多数決ができる政治体制がなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軍事衝突が懸念される地域が今現在もあるが、おそらくその渦中にいる権力者たちは…Dr.マンハッタンの脅威を未だに知らない…

 


それは、いまや自国民だけじゃない。

 


僕ら一人一人…

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そう、世界中を包み込んだ総意の…そいつ